なんと言っても、寝言ですから。
もしかしたら、本当に夢の中の出来事かもしれないんですけどね。

でも、わたしにはやたらと本当のことだという自信があったのです。
別の日に、さも知っていることのように、前に聞いた話しをすると、ちゃんと答えてくれてつじつまが合うのですから。

ある日の寝言。
いつもよりはっきり感がなく、“ゾウの足”っていう気になるキーワードが・・・。
ゾウ？
あの、動物園にいる大きな動物の象？
全く意味がわからず、いつものように話しかけることが出来ず、“えー？”とか、“そんなんだー”なんて、適当に相槌を打っていただけ。
なんとなく、おもしろくもなく、今回の訳のわからない調査の件を聞き出すのはあきらめよう、と思っていた。

すると・・・。
「こんなんが浮気するかね？」
ん？
“ゾウの足が浮気？”
思ったことがそのまま言葉として、発せられていたようです。

「そうなんな。おれも最初は、そんなんあるかよって思っとったわー。」
ゾウの足って、ゾウみたいな足をした人ってこと？
わたしは、たたき起して、真実を聞いてみたい衝動に駆られたけれど、そこは我慢、我慢・・・。
「普通さ、５０超えたゾウみたいなおばさんが浮気すると思うかよ？」

もう、興味津々。
本当に、わたしは仕事を休んででも、彼の調査について行ってみたい気になった。
浮気調査って、尾行調査って、どんななんだろう？
こんなとき、いつもは冴えない彼が、格好良く見えて、探偵っていう格好いい職業なんだって、友達にも自慢してみたくなったり。

うーん、普通の会話として、いろいろ聞いてみたい。
彼の寝言からすると、その、５０を超えた、ゾウの足をもつおばさんは、別居中の旦那さまからの依頼で、尾行されていたようです。
そんな人が浮気するかよー、とタカをくくっていたわたしですが、その結果は、なんと黒！！！

そのお相手は、依頼者の知り合いでもあったようで、寝言の彼も驚いていたようです。
たぶん、これは本当のことだと思うのですが、年輩の方の浮気調査って、難しいみたいです。
若い人のように頻繁に、いかがわしいところへ出入りしたり、あまりお盛んではないようのなので、それが浮気だと決定づける証拠とはならないのだとか。

中には、美術館や行楽地など、デートかどうかもわからないようなところに行く人もいたりして、そうなると浮気、という結論にはならないことも、少なくはないみたいです。

寝言と言えど、勉強になります。