あなたの身近にはいませんか?
大きな声で、しかもはっきりと寝言を言う人。
わたしの彼・・・。
そうなんです。
しかも、名古屋市内で、友達と探偵会社をしているんです。
代表者としては友達が名前を載せているので、共同経営ではあるのだけれど、彼は社長ではありません。
けっこう話しあったそうなのですが・・・。
彼、珍しい名字をしていて、名前を載せてしまうと、自分が探偵だとバレてしまうことを嫌がったそうです。
彼の地元は名古屋市内。
そのため、上手に探偵をしていくには、自分の職業が探偵だとわからない方が良い、という考えなのだとか。
それに比べると、彼の友達は大学時代に知り合った人で、地元も名古屋でないため、支障がない、なんて言っていました。
彼とは、わたしが学生のころ、いわゆるコンパで知り合ったのですが、その当初、彼は地元の名古屋で小さな会社で営業をしている、と言っていたのです。
かなり身近な友人にしか、自分の仕事のことを話していないみたいで、小さな会社だから、名前を言うのも恥ずかしい、なんてごまかしていました。
わたしが本当のことを聞いたのも、付き合って2ヶ月を過ぎてからでした。
電話がつながらないことがたまにあったり、夜間、携帯の電源を切られていたり、待ち合わせに連絡なく遅れてきたり。
ちいさな会社の営業で忙しいとはいえ、その行動はあきらかにおかしく、きっとわたしには本気じゃないんだと疑いはじめたころ、本当のことを話してくれたのです。
名古屋市内の、ちょっと郊外になりそうなところで、友達を探偵会社をしているのだ、と。
探偵だ、といわれても、最初はからかわれているのかと思った。
だって、テレビの中でしか見たことのない世界。
それが、自分の身近に、しかも彼氏がそうなんて、はいそうですか、って受け入れられますか?
しばらく無言で、どんなリアクションをして良いのやら、考えてしまい、沈黙。
わたしが引いていると思ったのか、ぽつり、ぽつりとそのイキサツを話し始めてくれたのだった。
そうなると、急に真実味を帯びてきて、さらに心の中で、驚く。
そして、わたしの中は、興味でいっぱいになってきてしまった。
そのうち、きっとわたしの目は、漫画で言うならキラキラしていたかもしれない・・・。
みるからに興味津々。
自分が引かれていないことを感じたのか、今度は彼が疑うような目つきをしてきた。
そして、話しの最後に、聞いてもいないのに、
「秘密厳守だから、調査の内容とか、行き先は細かく話せないから。」
それだけは、理解してほしい、ということだった。
あきらかに、わたしは残念そうな表情をしていたのか、彼はとても満足そうな表情で、お風呂場の方に歩いて行ってしまった。
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